東洋哲学研究室 教員紹介
垣内 景子
専門分野
朱子学
自己紹介
私は、「朱子学」を研究しています。「朱子学」と聞くと、古めかしい封建道徳であるとか、幕藩体制を支えた御用学問であるとか、あまり面白そうな印象はないかもしれませんが、「朱子学」の最優先課題は意外にも「心」の問題です。いかにして自由で安定した「心」を保つことができるのか、「心」という、いつの時代の人にとっても気になる問題をとことん考えたのが「朱子学」なのでした。信じられない、という人には、手前味噌ながら拙著『朱子学入門』(ミネルヴァ書房)をお勧めします。きっと「朱子学」のイメージが一新されることでしょう。
「朱子学」は中国で生まれた思想ですが、かつて日本にも大きな影響を与えました。「朱子学」はかつて東アジア共通の思想原理であったのです。その「朱子学」は、今を生きる私たちにとって本当に過去の遺物であるのか、私たちのものの考え方や価値観に「朱子学」の影響はないのか、しっかり見極めなければなりません。「朱子学」を知ることは、東洋に生きる私たちが過去を見つめ直し、現在の自分自身を新たに発見することにもつながるのです。
主要著作・論文
題名 | 収録刊行物 | 出版者 | 出版年 | 備考 |
『「心」と「理」をめぐる朱熹思想構造の研究』 | | 汲古書院 | 2005 | |
『「朱子語類」訳注』 | | 汲古書院 | 2010、2012、2014、2017 | |
『朱子学入門』 | | ミネルヴァ書房 | 2015 | |
ほか多数。
東哲希望者へ
東洋の伝統的な思想を読み解くことを通して、現代の東アジアに生きる自分たちのものの見方や考え方、倫理観や価値観を支えているものを見つめ直し、これからの時代に向けて新たな世界観を模索すること、すなわち東洋で「哲学」することに興味がある人にお勧めしたいのが東洋哲学コースです。ここにいう「哲学」とは、過去の様々な思想や世界観を知ることを通して、自分自身が当たり前だと思っているものを見つめ直し、未来に向けてより良くより快適に生きていくための新たな考え方を創り出していくことです。
「東洋に哲学はない」と言われることがあります。しかし、東洋に生きる人々にも様々な思想的営みがあり、それぞれの時代や地域ごとに新たな世界観を創り出してきたことは言うまでもありません。「哲学」が西洋だけのものであるとするならば、それはむしろ「哲学」の限界を示すものであり、「哲学」を越えるより普遍的な何かを私たちは東洋から創り出していくしかありません。そんな気概をもった諸君が集まってくれることを期待しています。